映画を見て心が揺れる
学校在学中に大型バイクの免許をとった。
ふとテレビを見ていると映画が放送されている。
何気なく卒業まじかで気分が落ち込んでいるのか、ぼうぜんと映画を見ていた。
少女が一人で日本をバイクで1周する映画だと気づく。
同じくらいの年の少女が一人旅。
バイクに目が行く、あれ自分と同じバイクに似ている。
少女は親の形見のバイクに乗る、自分と同じ型であるYAMAHAのSR400に乗っている。
思わず映画に魅入られ、少女と自分を合わせていく。
卒業間近に一人旅へ
映画を見て、自分も一人旅をしたくなったので貯金を使い、両親にも了承を貰って旅にでることにした。
少しお金を出してもらえた、心配性だなと思いながらありがたく受け取る。
この卒業前の悲しい気分を、少しでも和らげるために。
最初は目的をもって行こうか悩んだが、自由気ままに行くことを決める。
市内を出れば、景色も多少は変わってくる。
行く方角も自由、できれば山にしようと決めた、交差点を急遽左折することにして、山に向かってバイクを走らす。
30分も走れば、風景は変わってくる。
もう少し走れば隣の件に着く。
日帰りでツーリングは経験しているが、旅としては初めてだ。
それも友達もいない、一人旅。
気ままで、モヤモヤが少し晴れていく。
いざ県境近くになると山らしい道になる。
事故らないよう気をつけながら、途中休憩も入れてツーリングを満喫する。
景色がいい、今日晴れてよかったと思いながら空を見上げる。
雲はあるが、綺麗な青空が広がっている。
山にして失敗したかなと感じている。
坂道が多いので、指と足はフル活動だ。
自販機を見つけたら休憩しよう。
そう思いながら、木々に囲まれた葉の間から日が入る道を進む。
一人旅で出会った人たちとの思い出
自販機を見つけたら、先客がいる。
3人で会話している、集まってのツーリングなのかな。
少し離れた位置に停車して、ヘルメットを外す。
新鮮な空気が直接吸い込む、ヘルメットで蒸した顔にはちょうどよく気持ちがいい。
さて飲み物を買おうと、自販機へ近づく。
こちらを見ている視線に気づき、見ると3人組が自分を見ている。
ぺこりとお辞儀をすると話しかけてきた。
自分よりも年上だ、一人なのかやどこが目的か話す。
ここで会ったのも縁と言って、飲み物を奢ってくれた。
ささやかだが嬉しいことである。
10分程話して、感謝を告げてバイクへ戻る。
気ままに行こうと思ったら、この先に走りがいのある田舎道があることを教えてもらった。
田舎で一泊
聞いていた田舎に着くと、田舎だ率直な感想が思わずでた。
夕方にも近い、今回許されたのは一泊旅。
夕焼けになっていく田舎の景色に心が和む。
宿があるのなら、ここで一泊して朝から田舎道を堪能したい。
都会では常に騒々しい。
すれ違う車やバイクも少なく、走るだけで心が落ち着いていく。
コンビニがったので、そこでいったん休憩。
ナビで検索をかければ宿屋がある。
電話してみると夕飯付きでOKがもらえた。
初の一人旅で、テントは却下されたので一発で泊まることを見つけられたのはついている。
夕ご飯は本当に美味しかった。
怪しまれるかなと思ったら全然なく、お菓子などサービスしてくれた。
朝日を山間から見たいと思い、早々に寝ることにした。
朝日と田舎道を楽しみながら帰路につく。
今回は1泊の一人旅だったが、非常に満足した。
卒業まじかの落ち込みが嘘のように晴ればれしている。
世界が変わったというのは、通常の感想のようにいえるが自分にとっても見え方が変わったのは事実だ。
また機会を見つけて一人旅をしたいものだ。