ロングツーリング中のバイク少年に出会う
自由気ままにソロツーリングを楽しむ。
今日はどこに行こうか考えるのが楽しい。
誰にも邪魔されない一人だけの時間を堪能できるツーリングは最高だ。
金がなくなれば、日払いや宿付きのアルバイトで十分。
おいおい、ちょっと待ってなぜ道の真ん中に少年がいるんだ。
引かれたいのか、両手広げているしそんな訳ねえよな。
少年の前でバイクを止め、あぶねえだろと怒ると人の話を聞いていない返事がくる。
「乗せてくれ」って冗談じゃねぇ。
放って置こうと思ったらまてまて、なぜ俺の荷物を下ろす。
せめて持てと、あれ俺連れていく前提になってねえか。
それもすでに座っていやがる、俺の一人旅が台無しだ。
少年には追手が
なぜか少年という相棒ができてしまった。
相棒といっていいのかもわからん。
どこに行きたいんだって聞いてもどこでもって答えてきた。
下ろされた俺の荷物は少年に背負わせて、重くなりそうなものは仕方ないのでトランクに詰め込んだ。
俺の大事なキャンプ道具を置いていくことはできん。
あれなんか後ろに車が数台追いかけてきているような。
きのせいかと思ったら、俺が曲がると車も曲がる、何回か繰り返して、これは確実に俺たち追われている。
もちろん俺には覚えが一切ない。
んー昨日、コンビニでおつりを多くもらったあれか。
そんな些細なもんで、こんなにも終われるわけがない。
とすると、後ろの少年だな。
少年も追っ手に気づいているようだ。
お前何したんだよと聞くと、何もしていないときた。
殺人かと思っても、追ってくる車はパトカーではなく高級車なんだよな。
ちょっとずつ距離が近づいている。
逃げ切るにはどうすればいいのか
さてどうやって逃げ切るか。
少年は軽い、だからか曲がる際の体重の移動も問題なしで走れる。
が、スピードをだすと少年は飛ばされそうだ。
くっそーこうなるんだったらロープで縛っとけばよかったぜ。
誘拐犯だと思われたら一発で務所行き決定だ。
ぜってぇ後ろのガキのせいだ。
クソガキがしっかり捕まってやがれと叫び、スピードを出して少々やっかいな獣道へ入る。
この方向にいけば、別の道にでれるっていう長年の勘だ。
無事に逃げ切ったが
ふぅ、多少ガタガタしたがどうやら逃げ切ったようだ。
ちょっと後ろ振り向くとガキが疲れた顔してやがる。
俺のせいじゃなくお前のせいだ。
一応聞くが逃げてよかったんだよな。
聞くのが遅いのは置いといてくれ。
俺の準備の良さに感謝だ、予備のメットを少年はしているが、顔が青い。
大丈夫と返ってきたが、バイク酔いだろうな休憩させたいがまた追手がきたらどうするか。
自販機がある、あたりに追手もいないようだ。
仕方がない、バイクをとめ少年を下ろしヘルメットを外し、ジュースを与える。
どこに行きたいんだと聞いたらおじさんの行くところだってさ。
おれはまだ40才前だ、おじさんじゃねえ。
半分諦め少年を、PAまでの相棒がいる旅にしよう。
PAで絶対に降ろす、それまでに理由でも聞けるだろうと俺は気楽な気持ちで出発した。