見慣れた林道が突如として変貌する瞬間とは
いつものように週末の林道ツーリングを楽しんでいた時のことだ。鬱蒼と茂る木々の間を縫うように、お気に入りのオフロードバイクを走らせていた。
しかし、あるトンネルのように木々が覆い被さるカーブを抜けた瞬間、周囲の空気が一変したのを感じた。ひんやりとしていた森の空気が、急に熱帯雨林のようなまとわりつく湿気と熱気を帯びてきたのだ。
ふとバイクを停めてヘルメットのシールドを上げると、そこには見慣れた杉林ではなく、見たこともないような巨大なシダ植物が群生する熱帯のジャングルが広がっていた。エンジンのアイドリング音だけが不自然に響く中、遠くから聞いたことのないような低く響く獣の鳴き声が耳に届き、私は背筋に冷たいものが走るのを覚えた。どうやら、とんでもない時代へと迷い込んでしまったようである。
巨大な足音を背にオフロードをどう逃げるか
驚く暇もなく、地響きのような恐ろしい足音が近づいてきた。木々をなぎ倒して現れたのは、図鑑でしか見たことのない巨大な肉食恐竜、ティラノサウルスだった。
私は反射的にクラッチを繋ぎ、アクセルを大きく開けた。幸いにも、私の相棒はどんな悪路でも力強く走破できる軽量なオフロードバイクである。ぬかるんだ地面や巨大な倒木も、サスペンションのストロークを最大限に活かして次々とクリアしていく。バックミラー越しに迫る巨大な牙から逃れるため、私はこれまでに培ってきたライディングテクニックのすべてを注ぎ込んだ。
恐竜の圧倒的なパワーに対し、こちらは機動力と小回りで勝負するしか道はない。道なき道を必死に駆け抜けながら、エンジンが上げる甲高いエキゾーストノートだけが、私の命を繋ぐ唯一の頼みの綱だと確信して走り続けた。
時空を超えたツーリングが教えてくれることとは
息も絶え絶えになりながら、再びあの木々がトンネル状になった場所へ飛び込むと、視界が白く光り、気がつけば元の静かな林道に戻っていた。
バイクを降りて深呼吸をすると、土とオイルの匂いがとても懐かしく感じられる。たった数十分の出来事だったが、まるで長い夢を見ていたかのような不思議な感覚に陥った。しかし、フェンダーにこびりついた見たことのない赤い泥が、それが決して幻ではなかったことを物語っている。
私たちが普段走っている道も、もしかするとほんの少しの偶然で、未知の世界と繋がっているのかもしれない。この非日常的な体験を通して、私はオフロードバイクという乗り物が持つ、どこへでも行けるという無限の可能性を再確認した。これからも自分自身の安全にはしっかりと配慮しつつ、様々な景色を探しに出かけたいと思う。
